【参加レポート】WBC2025準優勝の中国代表サイモン・サンレイ氏の大会再現セットを体験してきました!

One by One Coffee Tokyo
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らてみゅーちゃん

WBC2025優勝のジャック氏に続いて、準優勝のサイモン氏にもお会いすることができたでし!大会の舞台裏をたっぷり伺ってきたでしよ〜♪

2025年WBC(世界バリスタチャンピオンシップ)で準優勝を果たしたサイモン・サンレイ氏が、東京「One By One Coffee Tokyo」に登場しました。 大会を再現した「WBC世界準優勝プレゼンテーション再現セット(以下、再現セット)」が2026年5月8〜9日は恵比寿店、10日は銀座店にて振る舞われました。

One By One Coffee Tokyoとは?

One by One Coffee Tokyo

今回のイベント会場となったOne By One Coffee Tokyoは、2025年4月に恵比寿でオープンした、希少なパナマ産ゲイシャなど30種以上の厳選されたスペシャルティコーヒーを専門に扱うコーヒーショップです。1杯最高8万円という驚きの一杯から、コーヒーカクテルまで楽しめます。中国で3店舗を展開する「One By One Coffee」が日本に初上陸したブランドで、2026年4月には銀座店もオープンしました。

サイモン・サンレイ氏とは?

One by One Coffee Tokyo

サイモン・サンレイ氏は中国・蘇州出身で、Marus Coffeeの創業者です。かつてはバスケットボールに最大の情熱を傾けていましたが、2012年にスペシャルティコーヒーに出会いキャリアがスタート。2013年に正式にバリスタとなり、2017年から全国選手権に出場し中国バリスタチャンピオン2回優勝、WBC2025では準優勝に輝きました。

WBCにおけるサイモン氏のプレゼンテーションの詳細については、こちらの記事をご覧ください。

イベントメニュー

One by One Coffee Tokyo

今回の再現セット(11,500円)は、2026年5月8〜9日に恵比寿店、10日に銀座店にて提供されました。セットの内容はエスプレッソ・ミルクビバレッジ・シグネチャービバレッジの3種で、ミラノ大会で使用したレシピ・カップで再現されています。

One by One Coffee Tokyo

またイベントでは、Marus Coffeeのコーヒー豆も販売されており、コンペティションロットやマイクロロットなどの貴重なラインナップが展開されていました。再現セットを購入するだけではもったいないと思い、パナマ・コトワ農園のゲイシャ(ウォッシュド)を「ミルク&エスプレッソ」のコンボ(3,500円)でいただくことに。白ブドウのようなワイニーなフレーバーは、まさに競技会レベルの素晴らしい味わいでした。

One by One Coffee Tokyo
One by One Coffee Tokyo

再現セットのメニュー紹介

One by One Coffee Tokyo
SDGsをテーマにしたテーブルコーディネート。WBCの舞台で実際に使用されたものです。改めて目の当たりにすると、その細部にまで宿るこだわりに深く感動しました。

それでは、いよいよ真打の登場です!

エスプレッソ

エスプレッソに使用されたのは、パナマ・フライングプーマ農園(Flying Puma Farm)のゲイシャです。精製方法はコールドファーメンテーション(低温発酵)とスロードライング(低速乾燥)を組み合わせたもので、豆の繊細なフレーバーを最大限に引き出す手法です。フレーバーはジャスミン、ネクタリン、オレンジ、ジャスミンティーのフィニッシュ。鮮やかな酸と口いっぱいに広がる上品なフローラルさ。審査員の気持ちが高揚するのもわかります。

ミルクビバレッジ


ミルクビバレッジに使用されたのは、コロンビア・ウィラ県産のピンクブルボンです。精製方法は、アアナエロビック・モスト・ファーメンテーション(果汁<モスト>とチェリーを密閉タンクで嫌気性発酵)です。

WBC2025におけるプレゼンテーションのテーマは「SDGs」。持続可能な未来と消費者と生産者の繋がりを実現する「エコフレンズ・プロジェクト」と「低炭素イノベーション」でした。ミルクビバレッジには、そのテーマを体現する独自のミルクブレンドが採用されています。カーボンニュートラルミルク(ラクトースフリーミルク)30%、スペシャルティコーヒー用にカスタマイズされたOATLY(オートリー)バリスタエディション35%、DONGPLANT(ドン・プラント)のココナッツミルク35%というブレンドは、環境負荷の低減と味の追求を同時に達成するための設計です。

「オーツミルクとコナッツミルクはそれぞれ固有の甘みと風味を持っています。それをカーボンニュートラルミルクと組み合わせることで、ミルクの甘みとコーヒーの苦みのバランスが生まれ、豊かなアロマが広がります」とサイモン氏は解説しました。

フレーバーはブルーベリージャム、ミルクチョコレート、バニラビスケット。濃厚な甘みのトップノートが押し寄せます。さらにストーンフルーツ系のフレーバーも重なり、上品な味わいに仕上がっていました。個人的に大好きなフレーバーでした。

シグネチャービバレッジ

3種のドリンクの中でも、最も革新的な設計を持つのがシグネチャービバレッジです。エスプレッソと同じパナマ・フライングプーマ農園のゲイシャをベースに、精密に設計されたシロップと窒素充填が組み合わさることで、唯一無二の一杯が生まれています。

ハーバルファーメンテッドシロップ5gにコーヒーシュガーシロップ5g、そしてモストファーメンテイト(発酵果汁)25gを加え、窒素を充填して仕上げます。ラベンダーとドライアプリコットの香りの奥に、マスカットワインのようなアンダートーンが広がります。

イベント中にはステビアの葉をそのまま試食する場面もありました。その強烈な甘さに驚く参加者に向けて、「ステビアを発酵させたエキスを使用してシュガーをゼロに近づけます。だからこそ、ハーブ特有のフレッシュなフィニッシュが生まれるんです」とサイモン氏は仕組みを丁寧に解説しました。化学的処理ではなく、発酵という自然のプロセスを選んだことも、SDGsのテーマと一致しています。

One by One Coffee Tokyo
初めて食べるステビアの葉。これも貴重なワンシーン。

カップに秘められた「五感を操る仕掛け」

One by One Coffee Tokyo

エスプレッソとミルクビバレッジに使用されたカップには、「ある秘密」が隠されていました。実はこのカップ、タイムモア社とサイモン氏が共同開発し、実際に大会でも使用されたもの。カップには「balance(バランス)」「clarity(クラリティ)」と印字されており、どちら側から飲むかによって、味わい方が異なる設計になっているのです。サイモン氏によると、大会期間中は毎日1時間ほどのテスト時間が設けられており、その日のカップの状態を見極めながら、審査員に対して「どちら側から飲むべきか」の指示を練り上げていたそうです。(結果的に大会期間中はずっとbalanceの方がよかったそうです)

One by One Coffee Tokyo

balance(バランス)

balanceは、縁の角度がより水平に近く、飲み込んだ液体が口の中で広がる感覚を生みます。苦みとアロマが同時に広がり、重さとボディ感が増します。高いではずっとbalanceの方が良かった。毎回毎日、テストの時間が1時間ほどあって、色々と試した結果です

balance(クラリティ)

縁がより鋭く薄く、液体が直接舌の奥へと流れていく設計です。酸味がより際立ち、軽やかでクリアな印象を与えます。コーヒーの個性、特に酸と香りの分離感を鮮明に感じさせます。

「ワインのグラスと同じ考え方です」とサイモン氏は言います。ピノ・ノワールとカベルネでグラスの形が変わるように、コーヒーもカップの形状によって感じ方が変わります。この考え方はワイン業界の科学的研究に裏付けられており、サイモン氏はその知識をコーヒーの世界に積極的に取り込んできました。さらに釉薬の違いもフィニッシュに影響し、つるつるとした表面ほど液体がなめらかに流れ、「シルキー」「スムーズ」という感覚が生まれます。

One by One Coffee Tokyo
カップの底にはタイムモア社とサイモン氏のネームが入っています。

さらにこのカップ、手に取るとやや重厚な造りになっています。さすが陶磁器の国(中国)のプロダクトと感じさせる品質です。カップ下部に重心を置くことで、口にする液体そのものも重く(ボディが強く)感じるという心理的効果について、サイモン氏は詳しく解説してくれました。

異なる国・会場に行くたびに温度・湿度・水質が変わります。BalanceとClarityのどちらを使うかをその日の朝のテストセッションで決定することで、変数を1つに絞ることができます。当日の最適解を毎回導き出すのが、サンレイ氏の揺るぎないルーティンです。

サイモン氏の今後の展望

One by One Coffee Tokyo
WBCのトロフィーをモチーフにしたマルスコーヒーのピンバッチをいただきました。早速トートバックに付けましたよ。

再現セットをいただいた後、サイモン氏の今後の展望について伺ってみました。「チャンピオンになるまで挑戦し続けるのか」という不躾な問いに対し、彼は穏やかに、しかし力強くこう答えました。

サイモン氏「チャンピオンになることが、私の最終目標ではありません。自分のアイデアや哲学を世界中の人々と分かち合いたい。それが最大の動機です。もし他に伝えたいことが生まれたなら、その時はまたステージに立つでしょう」

2026年の中国大会にも出場を予定しているというサイモン氏。現在は、2025年大会で注目を集めたWDTツール「ECOVAC(Eco-friendly Vacuum)」の小型改良版を準備中とのことです。 カップの設計からミルクの配合、そして生産者のストーリーまで——すべては彼が「伝えたい思想」を表現するためのパーツ。競技会を、単なる順位争いではなく、コーヒーを通じた自己表現の場として捉えるそのストイックな姿勢が、深く心に残りました。

One By One Coffee Tokyo

住所
東京都渋谷区恵比寿1-23-10

営業時間
9:00 – 18:00
※営業日時の詳細は公式instagramにてご確認ください。

Wifi:なし

公式instagram
https://www.instagram.com/one_by_one_coffee_tokyo/