【後編】アジア最大のコーヒーの祭典!SCAJ2025開催レポート!

SCAJ2025
ジャパンバリスタチャンピオンシップ2025(JBC2025)の表彰式の模様
<span class="fz-12px">らてみゅーちゃん</span>
らてみゅーちゃん

らてみゅーちゃん、JBCの2日間をまるっと取材してきたでしよー!みんなのミルクビバレッジを飲みたくて仕方ないでし(笑)

2025年9月24日(水)~27日(土)、東京ビッグサイト南展示棟で「SCAJ WORLD SPECIALTY COFFEE CONFERENCE AND EXHIBITION 2025」(SCAJ 2025)が開催されました。後編は、国内で最も権威のあるバリスタの競技会「ジャパンバリスタチャンピオンシップ」(JBC)の模様をお届けいたします。

【前編はコチラ

ジャパンバリスタチャンピオンシップ(JBC)

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JBCの会場

SCAJ 2025のハイライトの一つが、国内最高のバリスタを決める「ジャパンバリスタチャンピオンシップ2025」(JBC2025)です。JBCは、バリスタが持つ知識と技術を総合的に評価するための競技会であり、優勝者は翌年ワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC)へ日本代表として出場する権利を獲得します。

項目詳細
開催場所東京ビッグサイト 南展示棟(SCAJ2025会場内特設ステージ)
日程準決勝:2025年9月24日(水)
決勝:2025年9月25日(木)

JBC2025 準決勝/決勝 進出者

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全国各地の予選を勝ち抜き、準決勝に出場したバリスタは以下の通りです。(五十音順)

氏名 (Name)会社名所属店舗名会社所在地
安部 潤 (Jun Abe)猿田彦珈琲株式会社東京都
飯髙 亘 (Wataru Iidaka)株式会社サザコーヒー茨城県
伊藤 大貴 (Hiroki Ito)猿田彦珈琲株式会社東京都
井上 エルモ (Elmo Inoue)レックコレクティブ株式会社REC COFFEE 博多マルイ店福岡県
衛藤 匠吾 (Shogo Eto)direct coffee kyoto京都府
白井 伸之 (Nobuyuki Shiroi)株式会社BrewPeace珈空暈東京都
田中 陸斗 (Rikuto Tanaka)株式会社 PhilocoffeaPHILOCOFFEEA 201東京都
長坂 奈南 (Nanami Nagasaka)レックコレクティブ株式会社REC COFFEE福岡県
成澤 敬介 (Keisuke Narusawa)株式会社ニハゼThe Rising Sun Coffee千葉県
南條 裕乃 (Hirono Nanjo)株式会社ヒサシヤマモトコーヒーUnir(ウニール)京都店京都府
久永 由佳 (Yuka Hisanaga)猿田彦珈琲株式会社東京都
福山 竜哉 (Tatsuya Fukuyama)株式会社ヒサシヤマモトコーヒーUnir(ウニール)阪急うめだ店京都府
藤崎 大輔 (Daisuke Fujisaki)株式会社GLITCHGLITCH COFFEE & ROASTERS東京都
本間 啓介 (Keisuke Honma)株式会社サザコーヒー本店茨城県
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そして準決勝を勝ち抜き、決勝の舞台でパフォーマンスを披露したバリスタは以下の6名です。今年のWBCに出場が決まっている猿田彦珈琲の伊藤バリスタは、JBC2024の優勝者になります。さらに猿田彦珈琲からは、JBC2024準優勝の安部バリスタや久永バリスタも決勝に駒を進め、層の厚さを証明しました。

競技順氏名所属ミルクビバレッジに使用した豆ミルクビバレッジのフレーバー
第1競技者伊藤 大貴猿田彦珈琲農園:エル・ディヴィソ(コロンビア)
品種:シドラ(サーマルショックナチュラル)
ピーチ・バナナアイスクリーム・トリュフチョコレート
第2競技者長坂 奈南REC COFFEE農園:デボラ (パナマ)/アーデント・コーヒー(エチオピア)
品種:ゲイシャ・インターステラー(イノキュレートテッドナチュラル)/(アナエロビックナチュラル)
ピーチミルクティー・チョコレートアイスクリーム
第3競技者久永 由佳猿田彦珈琲農園:アルティエリ(パナマ)
品種:ゲイシャ(リバーフローファーメントナチュラル)
オレンジクリーム・キャラメル・ドライバナナ
第4競技者本間 啓介SAZA COFFEE農園:シダマエリア(エチオピア)
品種:#74158(アナエロビックナチュラル)
ブルーベリー・チョコレート・ホワイトチョコ
第5競技者安部 潤猿田彦珈琲農園:エル・ディヴィソ(コロンビア)
品種:シドラ(サーマルショックナチュラル)
マンゴーラッシー・イエローピーチ・キャラメルアイスクリーム
第6競技者南條 裕乃Unir農園:エル・ディヴィソ(コロンビア)
品種:アヒ(4回の発酵プロセス)
熟したイエローピーチ・ハニーミルク

競技の形式と評価ポイント

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長坂バリスタ(REC COFFEE)

JBCの競技は、制限時間15分以内で、競技者が選択したスペシャルティコーヒーを用いて、以下の3種類のドリンクを審査員に提供するフルパフォーマンス形式で行われます。

  1. エスプレッソ(Espresso)
  2. ミルクビバレッジ(Milk Beverage)
  3. シグネチャービバレッジ(Signature Beverage)

審査の焦点

審査員は、技術審査員と感覚審査員に分かれ、以下の点を総合的に評価します。

  • 技術 (Technical):
    • 器具の清潔さ、正確な計量、時間管理、バリスタとしての作業の一貫性や効率。
    • エスプレッソマシンの操作やスチーミング技術など、抽出技術の正確さ。
  • 感覚 (Sensory):
    • 提供された各ドリンクの味(フレーバー、酸味、甘さなど)の品質とバランス。
    • ドリンクが持つ個性の表現や、設定したコンセプトとの整合性。
  • プレゼンテーション:
    • コーヒー豆の選択理由、抽出へのこだわり、ドリンクのコンセプトなどを、説得力を持って聴衆や審査員に伝える能力。
    • バリスタの情熱、プロフェッショナリズム、コミュニケーション能力。

ご参考までに、JBC2024のスコアシートは以下になります。

テクニカルスコアシート/センサリースコアシート

JBC2025のハイライト

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伊藤バリスタ(猿田彦珈琲)

JBC2025では、以下の点が特に注目されました。

  • サステナビリティと探求:
    • 多くの競技者が、使用するコーヒー豆の生産過程における環境負荷への配慮や、農園の持続可能な取り組みに言及しました。
    • 「なぜそのコーヒーを選ぶのか」「なぜその抽出方法を選ぶのか」という問いに対し、深い探求のプロセスを披露しました。
  • 革新的なドリンク開発:
    • エスプレッソやミルクビバレッジだけでなく、オリジナリティ溢れるシグネチャービバレッジでは、卵白、アガベシロップ、特定のハーブなど、多様な副材料を使い、コーヒーの持つ風味を最大限に引き出す工夫が凝らされました。
    • 特に、ラクトースフリーミルクやココナッツミルクをブレンドして使用するなど、ミルクビバレッジの新しい可能性を追求する試みが多く見られました。
  • 「心の優しさ」と「価値の共存」:
    • 単なる技術や美味しさだけでなく、「飲む人の心に寄り添う価値」「多様な価値が共存する柔らかな一杯」といった、コーヒーが持つ情緒的な価値をテーマに掲げるプレゼンテーションが印象的でした。
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安部バリスタ(猿田彦珈琲)
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久永バリスタ(猿田彦珈琲)
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藤崎バリスタ(GLITCH COFFEE & ROASTERS)
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飯髙バリスタ(SAZA COFFEE)惜しくもJBC決勝進出を逃してしまいましたが、ジャパンブリューワーズカップ (JBrC) 2025では見事優勝されました!おめでとうございます!

JBC2025決勝 結果発表

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SCAJ加藤 慶人会長と本間バリスタ(SAZA COFFEE)

JBC2025決勝の結果(順位)は以下の通りです。
優勝者はSAZA COFFEEの本間バリスタに決定しました!おめでとうございます!

順位氏名所属
優勝本間 啓介SAZA COFFEE
2位伊藤 大貴猿田彦珈琲
3位長坂 奈南REC COFFEE
4位南條 裕乃Unir
5位安部 潤猿田彦珈琲
6位久永 由佳猿田彦珈琲

本間バリスタが長年の挑戦の末、ついに日本のトップの座を獲得したことで、大きな感動と注目を集めました。この優勝により、本間バリスタは2026年にパナマで開催されるワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC)に、日本代表として出場することが決定しています。ご自身が愛してやまないパナマに最高な形でたどり着くことが出来ました。

また本間バリスタのご家族、SAZA COFFEEの鈴木太郎社長にとっても、JBCの優勝は悲願でした。優勝が決定した瞬間、感情を爆発させ、同社関係者と喜びを分かち合っている様子はとても印象的でした。

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本間バリスタの優勝が決定した瞬間。観客席から大きな歓声が沸き起こりとても印象的なシーンでした。
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スポンサーのコロンビアコーヒーから副賞としてコロンビア行きのチケットが本間バリスタに贈られました。

JBC2025 総括

本間バリスタは、過去にも上位入賞を重ねてきたベテラン。「本間バリスタといえばエチオピア!」そう揶揄されることも少なくないとか。今大会で複数の選手が使用していたコーヒー豆はコロンビアとパナマでした。そんなトレンドの最中でエチオピアをセレクト。異なるテロワールと品種の豆を使用は、コーヒーに対する深い洞察と洗練された技術があってこそ。そして観客や審査員に対する誠実で心に響くプレゼンテーションが際立ちました。長年の努力が実を結び、最高の形でWBC(ワールド バリスタ チャンピオンシップ)への切符を手にしました。

JBCは、単に技術を競う場を超え、バリスタがコーヒーを通じて社会や未来に何を届けたいのか、その哲学と情熱を伝える場です。

「競技会は日常の延長である」

そのように語るバリスタがいるように、JBCが日本のコーヒーシーンを支えていると言っても過言ではありません。今大会に出場された競技者の皆さんは、次世代のバリスタに勇気や希望、感動を与え、ロールモデルとして大きく貢献されたことでしょう。ますます白熱していくJBCに今後も目が離せませんね!

重大発表!WBC2027開催地は東京に決定!

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JBC閉幕間際に、なんとSCAJ加藤 慶人会長から重大発表が!2027年4月28日から5月1日まで、ワールドオブコーヒー アジアとワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC)を東京ビッグサイトで開催することが正式発表されました!

2027年のWBCは、「ワールド オブ コーヒー東京」の一環として東京で開催され、前回の東京開催から20年ぶりになります。つまりJBC2026で優勝したら、そのまま東京で世界大会に臨むことになります。海外への渡航がなくなり少し残念な気もしますが、自国開催ともなればこれまで以上に盛り上がることは必至!今から早速準備に着手するバリスタも多いはずです!

latte mapはカフェラテ(ミルクビバレッジ)の美味しさをより追求、洗練されることを大いに期待しております!

以上、SCAJ2025の開催レポートをお届けしました。最後までお読みいただき、ありがとうございました!