

今年もコーヒー業界にアツい夏がやってきたでし!WBC2027の開催都市が東京だけに、今年のJBCは激戦必至でしねー!!
ジャパンバリスタチャンピオンシップ(JBC)2026の東京予選は、2026年7月23日(木)から7月26日(日)までの4日間にわたり、東京都江戸川区の東京ベルエポック製菓調理専門学校にて開催されます。各日13名、4日間で計52名のバリスタたちが集結し、会場は早くも白熱しております!
ジャパンバリスタチャンピオンシップ(JBC)とは?
日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)が主催するこの大会は、エスプレッソをベースとしたドリンクの提供を通してバリスタの総合的な技術と専門性を競う国内最高峰の競技会です。競技では、決められた制限時間内でエスプレッソやミルクビバレッジを抽出し、審判にプレゼンテーションとともに提供します。評価項目は風味や質感などの味覚審査(センサリー)だけでなく、抽出手順の正確性や衛生管理といった技術面(テクニカル)、さらに自身の使用するコーヒー豆のストーリーや魅力を伝えるスピーチや立ち振る舞いまで多岐にわたります。無駄のない洗練された動作や、個々の創意工夫が詰まったパフォーマンスが見どころとなります。
この東京予選と8月に開催される大阪予選を合わせた全出場者の中から、総合スコア上位14名のみが10月14日(水)・15日(木)に東京ビッグサイト(SCAJ2026会場)で行われる準決勝・決勝ステージへと進出できます。特に今回のJBC2026は、優勝者に2027年東京開催予定の「ワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC)」への日本代表出場権が与えられるため、自国開催の世界大会を目指すバリスタたちにとって例年以上に熱い熱量と緊張感に包まれた重要な一戦となっています。
予選競技の内容
JBC2026の予選競技は、本選や決勝より短い制限時間10分の中で「エスプレッソ4杯」と「ミルクビバレッジ4杯」の計8杯を作成し、審判に提供するフォーマットで行われます。本選で課される創作ドリンク(シグネチャービバレッジ)の提供は予選には含まれません。
審査は主に味覚を評価するセンサリー審査と、技術面を評価するテクニカル審査の2つの観点から実施されます。センサリー審査では、コーヒーの風味やバランス、甘さ、質感に加え、事前の説明通りに味が表現されているかどうかがチェックされます。テクニカル審査では、器具の扱い方の正確性や抽出の精度、粉の無駄のなさ、競技エリアの清潔さや衛生管理が厳しく見られます。競技者は限られた時間内で正確に抽出を行いながら、豆の選定理由やフレーバーの説明、抽出の意図などをプレゼンテーションし、プロフェッショナルな立ち振る舞いと一貫したサービス力を総合的に示さなければなりません。
東京予選1日目スケジュール(7/23)
| 競技順番 | 開始予定時刻 | 氏名 | 所属 |
| 第1競技者 | 11:27 | 越高 幸規 | 株式会社TAOKA COFFEE |
| 第2競技者 | 11:54 | 田中 拓美 | SPARK COFFEE ROASTERS |
| 第3競技者 | 12:21 | 安原 司 | 東和フードサービス株式会社 |
| 第4競技者 | 12:48 | 入野 来未 | 株式会社ウッドベリーコーヒー |
| 第5競技者 | 13:15 | 西脇 章太郎 | ― |
| 第6競技者 | 13:42 | 白井 伸之 | 株式会社BrewPeace |
| 第7競技者 | 14:09 | 伊藤 大貴 | 猿田彦珈琲株式会社 |
| 第8競技者 | 14:36 | 柏木 茉梨子 | 株式会社TAOCA COFFEE |
| 第9競技者 | 15:03 | 田中 義也 | SPARK COFFEE |
| 第10競技者 | 15:30 | 久保 洋子 | 東和フードサービス株式会社 |
| 第11競技者 | 15:57 | 木原 武蔵 | 株式会社ウッドベリーコーヒー |
| 第12競技者 | 16:24 | 堀田 大志 | エリシアコーヒー株式会社 |
| 第13競技者 | 16:51 | 柳澤 孝明 | 株式会社石井商事 |
注目競技者のプレゼンテーション(東京予選1日目)
東京予選1日目のハイライトとして、latte map独自の視点で注目の競技者をピックアップし、そのプレゼンテーションの内容をご紹介します。
なおプレゼンテーションの内容につきましては、インスタライブ配信の音声を書き起こしたものをもとに構成しています。音声認識の精度により、聞き取りが難しい箇所があり、正確ではない可能性があります。予めご了承ください。
第6競技者 白井 伸之選手(株式会社BrewPeace)

JBC2024ファイナリスト、JBC2025セミファイナリストという実績を持つ白井選手。所属する株式会社BrewPeaceは、2014年ワールドバリスタチャンピオンの井崎英典氏が代表を務める会社で、珈空暈(こくうん)に勤務しています。
プレゼンテーションの構成はエスプレッソ→ミルクビバレッジの順。使用したのは、白井選手が最も熱量を感じたという2人の生産者のコーヒーです。生産者と自身の熱量を掛け合わせた1杯を提供し、おいしさを介してその想いを共有するという趣旨のプレゼンテーションです。
使用した豆
コーヒー①エクアドル ソレダー農園 ゲイシャ ウォッシュド
- テロワールならではのシトラスアシディティを表現しようとする挑戦のロット
- プロセス:96時間の長時間発酵/紫外線が入らないダークルームで4〜5日間ゆっくり乾燥
- 特徴:クリーンなカップ、スムースなテクスチャー
コーヒー②コロンビア サルサ農園 パパヨ サーマルショックナチュラル
- 少品種パパヨの可能性を信じ、新しいプロセスを追求する生産者の姿勢がテーマ
- プロセス:150時間を超える長時間発酵+サーマルショック(50℃と20℃の水にチェリーを浸け、最適なタイミングで発酵を止める)
- 特徴:フローラルな芳香成分、厚みのある口当たり(ボディ)
抽出レシピ
エスプレッソ
- 配合:ゲイシャ 15g + パパヨ6g = 計21g
- 抽出量:50g
- 提供時の解説:飲むタイミングはコール(合図)まで待機。小さなスプーンで手前から奥へ5回混ぜてから提供
- フレーバー:オレンジ、パイナップル、ミディアムボディ、シルキーなテクスチャー、グレープのフィニッシュ
ミルクビバレッジ
コンセプトは「ミルクと調和しながらも、明確なトロピカルな甘さとスムーズなテクスチャーを感じさせる1杯」。目指したカップ表現は「バナナ、ミルクキャラメル、スムーズなテクスチャー」。
3つのアプローチで再現:
- 豆の配合比率の再構築:エスプレッソではゲイシャ主体だったのに対し、ミルクビバレッジではトロピカルな甘さを最大限引き出すためパパヨ主体に変更。パパヨ14g + ゲイシャ 6g = 計20g
- ショートレシオでの抽出:ゲイシャ由来のシトラスアシディティを最大限引き出すため35gで抽出。ミルクと合わせても明確なフレーバーを感じられるように調整
- 配合ミルク:40%濃縮したラクトースフリーミルクと30%濃縮したライスミルクを組み合わせ、70g注ぐ。ミルクと合わせても明確な甘さを感じられるよう工夫
第7競技者 伊藤 大貴選手(猿田彦珈琲株式会社)

JLACを3度優勝、JBC2024優勝、WBC2025世界5位という実績を持つ伊藤選手。バリスタとしてのキャリアを重ねても大切に続けたいのは、コーヒーの価値と誠実に向き合い、その背景・ストーリーをお客様へ届けることをテーマにプレゼンテーションを展開。エスプレッソ→ミルクビバレッジの順で、異なるロットを使用して提供しました。WBC2025のテーマであった「原点回帰」をより深化させた印象がありました。
使用した豆
エチオピア カラモ農園 74158 ナチュラル
- 生産者は伝統的なナチュラルプロセスの精度を追求し、2020年にエチオピアで初めて開催されたCOEで優勝(エチオピア国内初のCOE開催は2020年) このロットを落札して以来6年間、生産者との関係を継続。使用するのは、先代生産者の息子テリー氏が収穫からプロセスまでを管理し、次世代の生産者としての挑戦として作り上げたロット。
- 伊藤選手はテリー氏と4年前、彼がまだ20歳の頃に出会ったという。出会った当初テリー氏は「いつか世界一のエチオピアコーヒーをつくる」、伊藤選手は「いつか世界一のバリスタになる」と互いに夢を語り合った。
- テリー氏は、エチオピアの伝統だけでなくグローバルな情報も取り入れながらコーヒー栽培に挑戦。これまで標高2400m前後で1000を超える小規模生産者とともにコーヒーを作ってきた 今回使用するロットは、生産者がさらに高い標高2500mでの収穫に挑戦したもの プロセス面では、新たに設備投資をして作った「ダークルーム」でナチュラル仕上げ。水や電気のインフラが厳しいエチオピアの高地でダークルームを整備するのは容易ではなく、設備投資には失敗のリスクも伴った このダークルームにより1ヶ月以上のスロードライが可能になり、凝縮された甘さと、ゴールデンキウイのようなフレーバーが生まれたという。
抽出レシピ
エスプレッソ
- 標高2500mのロット。高標高のためスクリーンサイズが小さく、豆の密度が高いのが特徴
- 焙煎はトータルタイム10分に設定し、中心までしっかり火を通して発達させる
- レシピ:19.5gで49g抽出(密度の高い豆に合わせ、粒度・抽出を調整)
- フレーバー:レッドグレープ、オレンジ、アプリコット。ミディアム〜ミディアムローボディで、スムーズかつジューシー。オレンジワインを思わせる心地よいアフターテイスト
- 提供方法:右側の皿に置いたスプーンでカップを15回混ぜてクレマを開かせてから提供
ミルクビバレッジ
- エスプレッソとは異なる、さらに高い標高2600mのロットを使用。今年初めて収穫されたばかりで、木もまだ若く収穫量も限られる希少なロット
- この若い樹から生まれるフレッシュな酸の個性が、ミルクと合わせた際に最も心地よく表現できると判断してミルクビバレッジ用に選定
- レシピ:21.5gで48g抽出。52℃のミルクを70g注ぐ
- ミルクは2種をブレンド:乳脂肪4%のミルクと、低温殺菌牛乳を1対1で使用。乳脂肪4%はロットの凝縮された甘さと調和させる役割で、低温殺菌牛乳はクリーンな仕上げでロットのピーチ系フレーバーを引き立てる役割。
- フレーバー:ピーチクリーム、クレームブリュレ、はちみつ。クリーミーなテクスチャーで、はちみつのような心地よい飲み口
- 提供方法:提供されたらそのまますぐに飲むよう案内
総括(東京予選1日目)
使用されたコーヒーの産地は、パナマやコロンビアが中心で、ゲイシャをはじめピンクブルボンなど多様な品種が見られました。また、エスプレッソ・ミルクともにブレンドを採用する選手も少なくありません。
プロセス面では、近年のWBCやWBrCでも注目を集める「ダークルーム(暗室発酵・乾燥)」を取り入れた豆の使用が印象的でした。発酵プロセスのトレンドが継続する一方で、品種特性の魅力を引き出すためにナチュラルやウォッシュドといったクラシックプロセスを選択する選手も多く見受けられます。
ミルクビバレッジでは、ジャージー牛乳をはじめ、濃縮したライスミルクやココナッツミルクなどを組み合わせた「カスタムミルク」が目立ちました。これにより、濃密でトロピカルなフレーバーに仕上げる傾向が窺えます。
さらに提供時には、冷やしたスプーンで攪拌(かくはん)することでフレーバーを引き立てるなど、抽出後のサービングにおける工夫も光っていました。

